2011年1月25日火曜日

沈まぬ太陽


山崎豊子氏のドラマは、これまで「白い巨塔」「華麗なる一族」「不毛地帯」などどれも食い入るようにして見てしまう作品であるが、先日「沈まぬ太陽」をDVDで鑑賞した。単なるラブストーリーよりこういった社会的なテーマが絡むドラマが好きな妻と私。「沈まぬ太陽」は上述の3作品とは違い、権力よりというよりは、逆に、反体制派の主人公の人生が展開していき、それが新鮮であった。もちろん主人公である渡辺謙の演技はすばらしかったのだが、むしろ私は、その妻である鈴木京香の演技に感動してしまった。健気、かつ気丈、そして一貫して、夫をおおらかに包み込むあの一種の「許し」のまなざしに思わず号泣してしまった。 

山崎豊子氏のあの人間の「闇」を描くまなざしは、やはり鈴木京香の演技に代表される、ある種神々しくさえある夫婦や家族をとらえる視点なしにはありえないのだろう。やはりあそこまで透徹した「闇」を描くには、「光」も見えていないと描ききれないのだろうなと、作品を見終わったあとに思った。まさに日本の誇るストーリーテラー。やはり良い作品を見ると「日本人でよかった」と心底思える。

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