2010年9月25日土曜日

Olenka Bilash教授来校



 北海道はアルバータ州と姉妹都市ならぬ姉妹県(州)なのだが、本校も毎年アルバータ州から留学生を受け入れるなど交流が続いている。また、本校の英語の先生も、2年ほど前にアルバータ州に研修を受けに行ったり、毎年「道研」(北海道にある教員のための研修機関)に研修を受けに行っているなど、本校との関係も深い。
 今回、その先生の授業実践を見に来られるという目的も兼ねて、アルバータ州立大学のOlenka Bilash教授が来校された。第2言語習得理論に基づいた本来的な英語教育を北海道に広めるために、10年以上の前から北海道で活動されている氏であるが、今回は本校の生徒に対して模擬授業もしてくださった。いわゆる進学校ではない生徒に対してどのような授業をするのか非常に興味があったが、長年の経験と理論に裏打ちされた授業を私たち教員に見せてくださり、大変な刺激となった。
 その後の合評会ではいろいろと質問をぶつけることもできた。本校が実践している授業は教科書の音読・暗唱・暗写を中心とした授業展開であるが、教授がされたのは、いわゆるcontrolled outputではない、free outputを目指した正攻法の授業である。日本人教師である私たちはどうしてもinput,intakeを積み重ねることでoutputも自然とできるようになると意識しがちではないだろうか(もちろん私も含めて)。しかし教授にとってはやはりまっすぐにfree outputを志向した授業をしないことには、生徒はoutputをfreeにすることはない、と考えているようだ。
 もちろん教科書でできることとできないことがあり、「今回の授業は、教科書を使わない授業のほうです」とはっきり述べられていた教授の言うとおり、本校でも英語Ⅰ、英語Ⅱ、リーディング等のいわゆる基幹教科はinput,intake,controlled outputを重視し、教授のされたような授業は、OC1や英語表現等の授業で実践されていくことになろう。
 しかし、やはりまだ私の心の中には「教授のようなall Englishの授業で、生徒も単語レベルでしか口をついて出てこないような、あえて言ってしまえば『寂しい』授業を、OC1等の授業で展開する必要が果たしてあるのだろうか」という疑問がどうしてもぬぐえない。これまで様々なところで研修をさせてもらう中で、そういう授業が大切なことは頭ではわかっている(理論的にも本来的な流れだと納得したはずだ)が、それでも、生徒が1授業時間で話す・書く活動の量は、本校が基幹教科で実践している授業内のほうが、それがいかにcontrolされたoutputであるとは言え、圧倒的に多いだろう。その授業とは別に、やはり最終的に出てくる英語は単語レベルの発話でもいいから、それまで考えあぐねる生徒を辛抱強く待ち、やわらかい雰囲気を教室内に作り出しながら、生徒の発信につなげていく授業を実行していく必要があるのか、どうしても疑問に思ってしまうのだ。教室の規律も、そういう授業ではどうしても乱れがちで、そういった問題を克服しつつ、humanisticな授業を実践していくというのは、少なくとも私には(私のキャラでは特に…)至難の業に思えた。
 いずれにしても自分の中に議論の渦が巻き起こった。Olenka Bilash教授による授業と、氏との議論のおかげである。深く感謝申し上げたい。

0 件のコメント: